「発病から約三年」



「私の場合」下肢から症状が出始めたが、三年でお役ご免になった。

 医学書等に「ALSの予後は三〜五年」とある。

 この頃漠然とした「死」を認識するようになったと思う。

 この病気の進行度合いには、三ヶ月ほどのサイクルがあるように思える。三ヶ月前に機能的に可能だったことが、三ヵ月後には不可能あるいは劣化するようなことがある気がする。

 回復することもなく、麻痺の進行をとめることも出来ず、なんとも残酷な病気である。

 失われてしまった機能に苛立ち、さらには次にどの機能が失われるのか、という恐怖と焦りの日々だった。

 この頃、血中の酸素濃度、いわゆる「血ガス」の検査が行われるようになった。ある時、検査結果を見て医師は、「まだ(!)大丈夫だね」と言った。


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