『 夢で会えたなら 』


2007/07/01



私のサラリーマン生活は、16年で終止符を打ち、

帆を降ろすことになった。

31才で係長になり、およそ8年間を、

監督職として勤め上げ、それなりの実績を残し、

そろそろ課長というところで、ALSに屈伏することになった。

その間、5回の人事異動の辞令を受け、

最後の6回目が、屈辱の人事部付けであった。

短いサラリーマン生活の中でも、組織人としてのノウハウを会得し、

サラリーマンとしての、自信を身につけたことは、

一つの財産であると思っている。



思い出は沢山あるが、やはり、人との出会いであり、関わりであろうか。

女性の出会いの思い出は、年がいもなくキュートな気持ちになる。

女性との付き合いは、お互い本音でぶつかり合うので、

お互い本質的な性格が露骨になる。

私は女性との付き合いでバランス感覚を測ったり、

自らのエゴや自己矛盾を思い知らされたりしたものであった。

勿論、苦渋に満ちた屈辱も少なからずあった。

中でも、昔世話になった先輩が部下になった時などは、

今でも、苦い思い出として、鮮明に蘇り、複雑な思いに駆られる。

様々な屈辱は、サラリーマンなら誰でも経験、体験をするであろう。



それはサラリーマンの宿命でもあり、組織体制の歪みでもあろうか。

57才の今でも、順風満帆のサラリーマン生活を続けていれば、

部長の器ではないが、万年課長として、

そこそこの活躍をしていたのであろうと思われる。

どんな出会いがあったのであろうか、

家族を含めて私は、どんな状態、状況であったのであろうか。

せめて、夢にでも見れたら、素敵なことであろう。

もしもALSにならなかったら、という妄想はあまり意味のないことだし、

建設的でもないので、殆ど考えたこともないし、

考えないようにもしていた。

しかし、「終に行く道」もそう遠くはないし、

「来し方」を顧みても良いであろう。

セットバックすることを覚悟で、

甘美な思い出と勝手な妄想に浸ることも、

なかなか乙なことではあるまいか。



中トロの刺身にお新香と、そして、八海山。

心行くまで、泥酔したいものである。

気が付くと、傍らに、満面の笑顔の、彼女がいたりして。


夢でもし会えたら
素敵なことねぇ
あなたに会えるまで
眠り続けたい
(シャネルズ)