『 One Day 2 』

2007/02/12




私の介護のシフトは、3通りある。

7時から19時と、7時から13時と、13時から19時である。

私の介護の初心者は、13時から19時のシフトが、ビギナー向けであるようだ。

マスターするまでには、およそ40時間が、目安になる。

私の介護には、危険が伴うので、お互いに納得のいく見習いが必要である。

あまりにも過剰反応を示して、挫折してしまう方も多々いらっしゃる。

無理ないことである。扱いを間違えれば、死に至るからである。

そんな中でも、見習いを見事にクリアされた方も当然いらっしゃる。

見習い前とは、別人のように堂々として変身するのである。

手前味噌ながら、私の介護をマスターすれば、

どんな方の介護でも通用すると思っている。

午後2時から3時までは、土日を除く殆ど毎日、

訪問看護師さんによるリハビリが行われている。

私の数少ない、至福の時間でもある。

私は、ALSによって、多くのものを湯水のように失ったが、

お蔭様で手足などの硬縮は殆ど見られない。

これは、ALSの功罪の、一つであろう。感謝すべきと言うべきか。

月に2回の往診が午後にある。

カニューレ交換が行われるのだが、通算300回以上は行われているであろう。

人間は、どこまで忍耐強くなれるであろうか、我ながら感心してしまうのである。

果たして精神の消耗はどうであろうか。

物理的に見ることは、不可能だが、相当の疲労度と思われる。

私の介護は、エンドレスである。プライバシーは、殆どないに等しい。

それを苦に思ったことはない。

いつの間にか、タフネスになったのであろうか、それともルーズと言うべきか。

私は、ちょい悪クリスチャンでもある。

神に不信を持ちながら、祈りを奉げるという矛盾を平気で行うのである。

牧師さんとは、10年以上の付き合いである。

月に1回、訪問礼拝を行ってくださる。

これも午後の時間である。

彼は、私の肉声を知っている数少ない人の一人であるし、

私のALSの顛末を、つぶさに見てきた人でもある。

彼は、私のことをある程度は知っているのであろうが、

私は彼のことを知らないなと、ふと思うのである。

何かバランスを欠いた付き合いではある。

病人の付き合いは、得てしてこういうふうな不均衡になりがちである。

病気というハンデがそうさせるのであろうか。

4時から6時のおよそ2時間は、いろいろな意味での、私の調整の時間でもある。

片付け物を、ヘルパーさんにお願いしたり、原稿の代筆をお願いしたり、

訪問を受けたり、などなどとフリータイムとなる。

一息入れる、貴重な時間でもある。

やがて、7時には夜勤者と交代になる。

明日のための夜勤が始まる。

時には、そのエンドレステープを切ってしまいたいと思うこともあるのだが、ドン。