2005/11/02

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三種の神器

私に限らず、ALS患者にとって

呼吸器、吸引器、カニューレは三種の神器と言っても良いであろう

いずれが欠けても、存命はない。

いずれも延命器具装置に違いない。

しかし、敢えて単なる補装具としてとらえたい。

障害者独特の偏見と強がりであろうか?

客観的には偏見であっても、本人には正論になりうることもある。




呼吸器は、3ヶ月に一度のメンテナンスがあるものの、

この10年間一度も故障がない。

世間では、軽量、コンパクトのデジタル時代に、

頑固一徹にアナログを主張してやまないが、頼もしい限りである。




吸引器も呼吸器と同じく、アナログである。

数年前に、酷使に耐え兼ねて、

煙を噴いたことがあるが、以来故障はない。

一日に数十回の吸引をこなすのだから、その働きぶりは凄まじい。

当然、私のお世話になっているヘルパーの皆さんは、

吸引に関しては、卓越した技術の持ち主になる。

吸引行為を、医療行為として嫌うか、

特殊技術として積極的に習得しようとするかは、

それぞれのヘルパーの皆さんの介護に対する

スタンスによって違ってくるだろう。




現在のカニューレは2代目である。

一代目は8ミリのゲージであったが、

交換のたびに出血がひどく、現在の7.5ミリに換えた。

それ以来、出血もほとんどなく、交換もスムーズになった。

たった0.5ミリの違いではあるが、ALSを象徴しているようである。


ALSの研究は、多方面でなされていると聞いているが、

未だに、タイムリーな決定打はなく、

旧態依然としているのが現状である。

発病から十七年、

私の精神的な進捗状況は野球で言うと

7回から8回の攻防に差し掛かってきている。

この辺で、逆転満塁ホームランでも欲しいところである。

患者は、いつも、満員のレフトスタンドに視線を投げかけているのではあるが。