今、私は六十四歳です。
二十六年前に、医師にALSと宣言されました。
それより、一年前に、自覚症状がありました。
それは、会社の身体検査の時の垂直高跳びが、あまりに跳べなかったのです。
この事が、発病の初期症状と思われるのです。
やがて、三年で足が動かなくなり、その後、二年で動かなくなりました。
さらに、息苦しさもつのりはじめ、
風呂にも入れなくなりました。
この頃は、精神状態も異常を極めていた。
やがて、気管切開をする事になる訳です。
その苦悩は、現在も続いています。
その間に、離婚を経験しました。
そして、父親を亡くしました。
ついに、気管切開をする事になりました。
気管切開当日、恐怖のあまり、医師に何度も打診しました。
声は、失わないですね、と。
その為、スピーチカニューレを使ったのです。
しかし、声は二年で出なくなりました。
この頃から、文字盤を使い始めました。
食事に二時間も、費やはめになりました。
ついに、飲み込む事が出来なくなり、
胃ろう手術する事になりました。
私は、ついていないのか、二つの手術とも、普通に終わりませんでした。
何がしらトラブルがあり、倍の時間がかかりました。
今や、身体のどこも動かず、目だけが動きます。
しかし、その目も、ALSに侵され始めています。
ALSに翻弄された、二十六年でした。
私の人生は、ALSで始まり、ALSで終わる、
と言っても、過言ではないはずです。
私は、クリスチャンですが、
神は、私にどんな救いを差し伸べてくれるのだろうか?
ALSが真綿で、首を絞め始めたときに、死を予感した私は、
ALSの軌跡を残しておこうと思いました。
それで、書いたのが「花みずきの咲く頃」です。
何故、花みずきかと言うと、
五月に医師にALSと宣告されたのです。
花みずきは五月の花です。
花みずきを見ると独特な気持ちになるのです。
くしくも、私の誕生日は五月の七日です。
今は身体の事より、介護ヘルパーさんのスケジュール管理で多忙な日々を送っています。
皮肉なことです。
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