『バランス2』

2010/11/20

 



高橋真梨子のアンサーソング「ジョニーへの伝言」と「五番街へのマリー」は、

聞きこむにつれて、この歌に対する情が深まっていくようだ。

恋に落ちたジョニーとマリーのバランスが崩れた結果であるが、なにか切ない。

私も類似体験がないわけでもないので、この二人のドラマは余計に切ない。

恋に落ちると、バランスを崩すもののようだ。

先日、20年振りにショッピングセンターに買い物に出かけた。

きっかけは、「フレッシュな野菜や果物や魚を見たい」というものだった。

私の外出は、外出の目的以外に、私の体調や精神的なバランスのチェックを図る、

言わば、私の総合的なバランスチェックの為に外出する。

後者のほうがウエイトが高いかもしれない。

毎日、決められた生活をしていたのでは、バランスチェックのしようがない。

ショッピングセンターは、屋根付きの駐車場から直接売り場まで出られるので、

障害者にはありがたい。通路が広いのもありがたい。

5階に映画館があるのは、このショッピングセンターの魅力でもあろうか。

ちょうど昼時だったので、5階の食堂街のお寿司屋さんから始めた。

もちろん、私は食べられないので、みんなの食べてるとこを見てるだけだが

一見残酷そうに見えるが、私は目で食べるので構わない。

4階の専門店街に降りた。

4階では、低反発枕を買い求めた。

20年振りの買い物の初っぱなだが、枕とは色気がないが、

今流行りの枕を見てみたかった。

3階へと、2階へと、買い進んで行ったのだが、

その頃より、眼球の疲れが限界に近づいてきた。

3階では、モコモコパジャマ、パンツ、カジュアルシャツ、などを買い求めた。

派手なパンツは、私の嗜好というよりも、

ヘルパーさんの注目を浴びることが狙いだった。

カジュアルシャツを5枚も買い求めたことは、健康な時でもなかったことだ。

明らかな、衝動買いである。

1階では、生鮮食品とお土産のシュークリームを買い求めた。

生鮮コーナーでは、期待外れだった。

ダイナミックな陳列を期待していたが、鮮魚の陳列は平台だったので、

私は覗き込むことが出来ないので、十分にみることができなかった。

果物は、ちまちまな陳列で、迫力も魅力も感じられなかった。

シュークリームの店は、ガラスケースの店で、清潔感が溢れていた。

店員さんも笑顔で接客して、好感が持てた。

シュークリームは数が多いので、無理かなと思ったが、

なんとひとつひとつ袋に入れてくれて、保冷剤までひとつひとつ入れてくださった。

数が多かったので、時間がかかるのは承知の上だが、

我々のスタッフの後ろに、シュークリームを買い求める人が待っていたのであった。

その方の表情たるや、苦虫を噛み殺しても、苦虫が溢れ出ているような表情であった。

そのお客さんには同情するが、バランスが崩れると、これまで酷くなるとは。

精神的にバランスが崩れると、表情まで崩れるようだな。

その後帰路に着いたが、エレベーターの鏡に映った我が顔を見て、「はっ」とした。

「ああ、人間!」