『おもいっきり!ALS』

2010/04/06

 



窓を開けると、風が頬に優しい。

以前は、全身を震え上がらせるような、意地悪な風であった。

確実に季節は移ろっている。

これからは、夏至まで、一気に日がのび続ける。まるで猛進するように。

ALSも、似ている。

呼吸を、奪い取るまで一気に進行を止めない。

ALSも猛進する。

先日、テレビで、ALSを取り上げていた。

テーマは、「意志の疎通がはかれなくなったら、呼吸器を外してくれませんか」

という、ショッキングなものだった。

呼吸器をつけているALS患者が、直面する課題である。

私は、呼吸器をつけて15年以上経つが、

私にとっても、日々避けることのできない壁である。

「死」の選択でもある。

ALSを発病した人の8割の患者が、自然死を選択するというデータがあるが、

それは「究極の死」を予想してのことであろうか。

そう思うと、残りの2割の私は、視線が曖昧になってくるのである。

デンマークでは、安楽死が法的に認められているが、

その対象にALSも入っているという。

昨今、延命医療の研究が進められているが、

それとは反対に位置する安楽死や尊厳死は、

なおざりのままだし、放ったらかしのように思える。

そろそろ、メンタルケアの見地からしても、

安楽死を、法的に容認しても良い時期ではないだろうか。

全身、どこも動かず、かろうじて眼だけ動く私は、

その目が危ういとなれば、どうしても、

ALS生活をポジティブには考えられないのである。

ネガッ!ネガッ!