『なごり雪』

2009/03/12

 



歳をとると、回帰性が強まるのであろうか。

最近、童謡や小学唱歌を好んで聴いている。

懐かしいのは、もちろんだが、何か、癒されるような気がするのである。

時に、「今なら死んでもいい」と思う時さえある。

聴く側の精神状態にもよるだろうが。

心理的に、充実している時には、

あまり童謡の類は、聴かないように思うが。

私は、来年還暦を迎える事になる。

まさに、回帰性に相応しい世代ではある。

還暦に相応しい、感性である。

回帰性とは、趣が異なるが、

最近、「なごり雪」という曲を、聴く機会があった。

この曲のデビューは、30年以上前ではないであろうか。

ポップス系の曲にしては、珍しくファン層が幅広い。

この曲も、タイトな思い出がある曲である。

男女の微妙なニュアンスを、物語チックに唄った名曲であろう。

この曲の、「サビ」の、

「今、春が来て、君は綺麗になった。

 去年より、ずっと綺麗になった。」

このフレーズは、なかなか書けるものではない。

この曲を作詞した人は、「その道」では、なかなかのクセ者であろう。

このフレーズは、普遍的な口説き文句であるからだ。

この種のフレーズがあるからこそ、

この曲は、新しさを、保っているのだろう。

どんな思い出でも、異性が絡んだ方が、鮮やかではある。

他の思い出は、殆ど、不本意なことばかりではある。

さしずめ、「なごり愛」とでも、言えるであろうか。

そして、「去年よりずっと………」になるのである。