『冬の雨』

2009/02/19

 



「氷雨」という歌謡曲は、20年以上前に、流行ったと思う。

最近では、ジェロという黒人の演歌歌手が、

リバイバルヒットをさせているようである。

私が、20年以上も前の、サラリーマン時代の頃の持ち歌でもある。

宴会や社員旅行などで、歌わざるを得ない時に、唄った歌でもある。

歌は、思い出を伴う事が多い。

歌と思い出は、不思議な相関関係にある事が多いようだ。

歌が思い出を引き寄せるのか、思い出が歌を呼び寄せるのか。

ALSが、ネガチブな発想を呼び寄せるのか、

ネガチブな発想がALSを呼び寄せるのか。

いずれにしても、あたらずども、遠からずであろう。

ALSとネガチブな発想は、相関関係にあるのであろうか。

「氷雨」を聴くと、ある女性を思い出す。

20年以上も前の事ではある。

その方は、良く言えば、独立心が強く、

一般的には、協調性の乏しい方であった。

その方を、思い出すと、面影は、もちろんだが、

独特な仕草が、鮮やかに、フラッシュバッグする。

不思議な事に、それが「氷雨」で甦るのである。

この現象は、私だけではないであろう。

不思議な心理現象である。

今では、その方と連絡はとれないし、消息もわからないが、

お会いしたい人の一人でもある。

寝たきりでいると、必然的に出会いは限られてくる。

当然ながら、思い出の鮮やかさが、より鮮明になるし、

思い出を拠り所にするケースが多くなる。

会いたい人、会っておかねばならない人、

今、曖昧に思い出しているのである。

人生の終焉を間近に控えて、やるべき事の一つであろう。

今、何故か、再び、「冬の雨」が私に降り注いでいる。

「暗い、暗い、暗いなぁ、お前のエッセイは」

「ほっとけ!暗いのは、生まれつきじゃ」