『加湿器』

2009/02/02

 



3年ほど前に、加湿器を購入した。

健康な時は、加湿や湿度に無頓着であったが、

病に伏すようになってからは、神経質になった。

まして、私のように気管切開をして、

呼吸器をつけているような、ALS患者にとっては、尚更である。

「加湿器は、雑菌をばらまいているようなものだ。」

この言葉に敏感に反応した。

ヘルパーさんが、交代する度に加湿器の水を入れ替え、

ゆすぎ、リフレッシュさせた。

定期的に、クエン酸消毒をした。

雨の日には、加湿器の中を空にして、加湿器本体を乾燥させるように努めた。

加湿器を24時間つけっぱなしにするような、

加湿器の管理を放棄するような事はしない。

湿度計が、およそ、60パーセントを越えたら、

加湿器をとめるように心掛けた。

まめに、加湿器のオン、オフを管理した。

加湿が、過度になると部屋の壁にカビが、発生したからである。

まるで、加湿器を生き物のように、不断に管理を心掛けるようにしたのである。

病人の神経質さそのままに。

ALSといえども、安閑として、寝ていたのでは、

精神や肉体にカビがはえてしまいそうな気がするのである。

加湿器のように、普段のケア管理が必要であろう。

これも、病人の強迫観念か。

健常者は、外的環境などで、様々な刺激を受けているので、

常に、精神や肉体は、活性化されているが、病人は、そうとは限らない。

「鬱病」は、思考が、停滞した時に、発病するのだろうか。

常に、精神を活性化させ、精神的に行動して生きたいものである。

「ああ、ALS生活をキープしていくのも楽じゃねえな」

今、湿度計は、58パーセント。

「さぁ、どうする?加湿器!」