『ブラインド』

2008/12/20

 



ALSの影響で、まばたきが、しにくくなってきた。

それで、夏頃から目の充血がひどくなった。

ついに、最後の砦の目までも、侵されたら………。

そう思うと、私の気持ちまでも萎えてきてしまう。

ALSとは、ほんとに残酷な病気だ。

目の充血は、目薬はもちろんだが、目を冷やす事によって、

目の充血が多少、治まる。

これも、一つの民間療法であろう。

目をブラインドする事によって、集中できる、様々な事を考えられる。

私は、24時間介護である。

いつでも、誰かしら、側にいる。

そうして頂かないと、危険で生きていけない。

当然、私一人になる事はないのであるから、

プライバシーは、ほとんどない。

目をブラインドする事によって、

何か、一人になれたような錯覚に陥るのである。

錯覚とはいえ、一人になれる感覚は、貴重だ。

日常の様々な問題を、思い巡らしてみたり、ある種の妄想にふけったり、

時に密かに涙したり、などなど。

ささやかな、安息の機会になったのである。怪我の功名か。

それは、ALSという太平洋に、漂う木の葉程度の事だが。

こうして、御託を並べては、ALS生活を、なんとか、

咀嚼しようとは、しているのだが。

「ああ、ALS。いい加減なんとかならないものか」

このままでは、目だけでなく、気持ちまでブラインドしてしまいそうだ。