『プライド』

2008/11/23


 


阪神の岡田監督が、今シーズン限りで、辞任する事に決まった。

前任の、野村監督や星野監督に比べても、遜色のない実績ををおさめた。

本来なら、前任の監督に比べられ、プレッシャーに押し潰され、

惨憺なる成績で1年目で辞任する可能性もある所であろう。

彼は、地味ながらも、着実に手を打ってきた。

それは、ファームでの監督経験が基盤となり、自信を持てたからだと思われる。

新人監督にしては、堂々とした采配がその根拠であろうか。

今回の辞任は、シーズン後半の13ゲーム差をひっくり返されての

責任の取り方と思われる。

私も、阪神の優勝を確信していただけに、今回の逆転劇はショックであったし、

辞任問題に発展する事は、やむを得ない事であろうと思っていた。

しかし、冷静に考えてみると、岡田監督の辞任は性急的すぎるように思われる。

今回の辞任は、彼の野球人としての、プライドが許さなかったのであろう。

そのプライドが、彼を支えていたと言っても過言ではない。

様々なプライドがあるとおもうが、

プライドが、その人のバランス感覚を維持している。

プライドが崩れた時、失った時には、バランス感覚も崩壊するであろう。

今井美樹は、「愛はプライド」と、いってのけたが、

岡田監督にとっては、「野球はプライド」だったのである。

辞任する事で、彼のプライドとバランス感覚は、維持できたのであろう。

さて、私は、半年以上の入院経験を持っているが、

「プライド」が関係した、ある象徴的なシーンを目撃した事がある。

6人部屋の同室の方で、70歳前後の方であった。

その方の医者、看護婦に対する態度が、あまりにも暴挙に見えたのである。

全てに対して、「おい、お前!」なのである。

医者、看護婦の人権や人格を無視するものであった。

それが、その方のプライドであり、人格でもあったのであろうが、

あまりにもひどく、病院生活の生き方を知らなすぎた。

その方に対する病院関係者の対応は、おしてしるべしであろう。

その方は、3週間程で不幸にも亡くなった。

病気で亡くなったのか、人為的なストレスで亡くなったのかは、

定かではないが、過剰なプライドが、死因の原因でもあろう。

病院生活をある程度快適に過ごすには、コツがあるのである。

「我が輩は患者である」ではだめで、

「あなたの好みの、あなたの好みの、患者になりたい」で、

行かなくてはだめなのである。

そうする事が、プライドをギリギリで捨てずに、

病院生活を過ごすコツなのである。

それにしても、あの方のシーンは、胸にやきついて、

いまだに忘れられないものである。

しかし、13ゲーム差をひっくり返されるとはね、

プライドもへったくりもあったもんじゃねぇ。