『影』

2008/11/08


 




先日の、肺の検査結果は、「左右の肺の背中側に、白い影があり、

右の肺に炎症の後がある」との事。

主治医の検査結果の「白い影」という言葉に、

一瞬ドキッとしたが、動揺はしなかった。

その時は。

その対応策として、呼吸器の換気量を増やし、肺を広げる。

体位交換の回数を増やし、たんをだしやすくする。

この2点を、主治医から指示を頂いた。

しばらくしてから、私の中に「影」という言葉のイメージが広がり始めた。

肺炎である。

久しぶりに、「死」を意識しだした時でもある。

難病患者は、病状を拡大解釈しがちである。

何故なら、ALSのほとんどの方が、「肺炎」で亡くなるからだ。

しかし、気管切開して14年、1度も肺炎になった事がない事は、

今思えば、驚きである。

幸運というべきか、ケアがよかったというべきか、

いずれにしても、今後に課題は残された。

やがて、その「影」は、しこりとなって私の胸に残された。

闘病生活20年、数々のしこりが私の胸にあるが、

その中でも比較的、その「影」は大きい存在になった。

それらのしこりは、私を日々悩ますに充分な存在である。

病人は病気だけと戦っていればすむものではない。

様々な周辺事情もあり、付帯状況とも困惑し、逡巡しているのである。

むしろ、病人は、それらの事に神経をすり減らしている事の方が、

多いかもしれないのである。

病気というハンディキャップがあっても、神は、健常者と同じ煩悩は、与える。

それが生きている証なのであろう。

当分,ALSと煩悩の二重苦はつづくのだ。

赤塚不二夫さん、合掌

「あきらはつらいよ」 寅さん、合掌

「?.」合掌