『あとがき』

2007/11/23

 




私は、学生時代より、書店を巡り歩くことが好きだった。

サラリーマンになって、生活環境が激変したが、その趣味は残った。

まるで知的バランス感覚を保つかのように。

しかし、文芸雑誌は、全く読まなくなったし、

文学専門書も殆ど読まなくなった。

サラリーマンの生活スタンスが、

それらの本を受け付けなくなったのであろう。

環境の変化は、趣味、趣向も変えるのであろうか。

数店舗の書店を巡り歩き、平積みされた新刊本を吟味したり、

常設棚の本をチェックしたりして、知的欲求を、

ささやかながら満たしたりしたものであった。

私は、新刊本の類を吟味するときに、「あとがき」を見ることが癖だった。

「あとがき」には、その著者の普段着の姿がかいま見えるし、

その本の所謂メイキングが推測できる。

いわば、虎の巻であろうか。

「あとがき」を読むことは、その意味でも楽しい。

このホームページは、平成7年以降の様々なエピソードや心境を綴ったものである。

私は、ALSによって、生活環境はもとより、人生さえも激変した。

その軌跡を残そうと思ったのである。

初めは、軽いタッチでエッセイを書けたのだが、

回が進むに連れて、深刻さの度合いが深まり、私自身も鬱状態気味になってしまった。

これでは、立ち行かなくなり行き詰まってしまうので、

なんとか気分転換を図っているところである。

滑稽だが、赤い靴下を履いたり、さらしの代わりにスカーフを首に巻いたりして。

なんとか新しいページをめくりたいと思ってはいるのだが。

私のALS人生の「あとがき」は、「夢の途中」と思っている。

ならば、「夢の終わり」はどんな結末を迎えるのであろうか。

私自身の気持ちは、混沌としている。