「夢は風に乗って」は、

群馬の沢渡温泉に入院療養した時のことを随想したものである。

まったくのドキュメンタリーでもある。

この病院を退院してから、離婚して、実家に戻り、

在宅療養生活が始まった訳である。

この機を境に、病は急速に加速度をつけて悪化し、今に至る。

病院は、抜群の環境の良い所にあったが、

私の気持ちは、それとは裏腹にあった。

登場人物は、すべて実在する人々である。

皆さんそれぞれ、重い背景を持つ人々であり、

私だけが、不幸を背負った訳ではなかったことが、

その時には、精神的な救いになったであろうか。

まさに、ドラマになりそうな状況、情景ではあった。

なかでも、純ちゃんとの交流は、思い出深いものである。

彼女は、「花みずき通信」にも紹介したが、

今でも交流があり、旧交を温めている。

この病院に特別な思い出がある訳ではないのだが、

なぜか、懐かしく思い出される。

この病院に行けば杖をつきながら歩き、

談笑している自分に会えそうな気がするのである。

ちなみに、タイトルの「夢は風に乗って」は、

明治の作家の、横光利一の「春は馬車に乗って」のパクリである。